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ポン・ジュノ監督講演会~東京工芸大学中野キャンパス

感動新たなうちにアップしようと思いつつ、忙しさに負けて1週間たってしまったポン・ジュノ監督講演会!
月曜日の午後の開催でとうてい参加はできないところなのですが、いくつかのラッキーが重なり約2時間にわたりお話を聞く機会を持つことができました。
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東京工芸大学芸術学部主催の「ひらけ!メディア 日・韓国メディア芸術の現在2007」の企画の一つとして西村安弘准教授がポン・ジュノ監督に質問する形の講演会で、最後には参加者からの質問を受ける時間もありました。
会場は大学内のホール。学生に時代に戻った気分で、かなり必死にメモをとりながらの参加となりました。
でも、1週間経ってしまうとメモを見ても???のところが多々あり、かなりあやふや。20ウン年前とは記憶力がまるで違うという現実に気づき愕然。
しかもカメラを忘れてしまい、監督の真夏の東京での撮影で日に焼けたと思われる精悍なお顔をご紹介することができません。(涙)予想以上にとても素敵なポン・ジュノ監督でした。(はーと)

<11/12うれしい追記!>
一緒に講演会に参加した友人が撮影した写真を送ってくれたので、喜びいさんでアップさせていただきました。
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この日の参加者は実は決して多くはなかったのですが、それを気にかける様子など微塵も見せずに、熱心に話してくれた監督の笑顔です。
Nさん、どうもありがとう!!





<監督のルーツをたどる・・・>
・子供の頃、日本のコミックやアニメが好きだった。(当時は日本のものとは知らなかったが)特に「バビル2世」(横山光輝)が大好きだったそうです。
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・同じく幼い頃にイタリア映画「自転車泥棒」を見て感動。長じて韓国社会に興味を持つようになり、どうしたら理解できるのかとずっと悩んでいる。
・大学での専攻は社会学だったが、映画サークルで短編映画を制作したり、第三世界の映画を見ることで学び、卒論では「第三世界の映画と政治イデオロギー」をテーマに研究。
・韓国映画アカデミーでプロの機材で1年間実習を中心に映画作りを学び、そこでの重い照明機材をかついで山を登った経験などが今に生きている。監督が各スタッフの悩みを知っていることが映画を作るに当たっては重要。

実はマンガ家になりたくて小さい頃からたくさん描いていたことや、アニメーション作家を目指そうと思ったが自分にはそこまでの才能はないとあきらめ実写の世界に進んだという話も出ました。

<プロの道に入ってから>
・生活のため家族のために稼がなくてはならない事情と、シナリオの経験を積みたいという二つの理由から「モーテルカクタス」と「ユリョン」のシナリオにサポートライターとして参加。
・「ユリョン」は民族主義的な映画を作りたいという制作者の強いオーダーのもとに作られた。自分自身の執着を捨てて、冷静に、まぁいいやという気持ちで取り組んだ。
この映画の制作にかかわった経験を通して、制約の中で映画が作られるという現実をよく見ることができた。そして、早くデビューしたいからとこういう映画を手がけてはいけないということを胸に刻んだ。

この「ユリョン」の話は、聞き手の西村氏の興味のツボだったのか、かなり詳しく質問。予想以上に時間を割いての話となりました。
最後にオーソン・ウェルズの台詞(作品名は失念)の「他人の夢に加担するな」を監督が引き合いに出していたのが印象的でした。
このような経験を経ていよいよ長編監督作品の第1作目「吠える犬は噛まない」(原題は「フランダースの犬」)が制作されます。

<「吠える犬は噛まない」から映画のジャンルについて>
・原題の「フランダースの犬」は韓国でも大ヒットした日本のアニメにちなんだもので、劇中ノレバンでこのアニメの主題歌を歌うシーンがあることから会社がつけたもの。監督の意志ではないことを強調!
タイトルから映画の内容を想像して見に来た観客は失望。(勝手にアニメのイメージを想像)
・ジャンルを明確に規定できない作品であることがマーケティングの悩みとなった。
・この経験を受けて、その後の「殺人の追憶」と「グェムル」はジャンルを確立。ただしこれはジャンルの慣習をなくすことなどにより、「ジャンルをはずすためにジャンルに挑戦」
・「殺人の追憶」は刑事物というジャンルだが、犯人が捕まらないまま映画は終わる。「グェムル」は映画開始から15分で怪物が出てきてしまい、いずれもそのジャンルにおいては掟破り。
・「負け犬」キャラに惹かれる。リアリティーに基づくユーモアは自然に思える。

このジャンル話の中で、監督は「ミュージカル以外のすべてのジャンルに挑戦してみたい」とのことでした。会場からは笑い声が。この件に関しては、なんだかわかるような気がするだけに、質問してみればよかったと後から思いました。実際はどうなんでしょうね?

<俳優の話題>
・ピョン・ヒボン~監督の小学生時代に人気テレビドラマの常連で、詐欺師や占い師などの個性的な役を演じファンだった。大人になって監督になったら一緒に作業したいと思っていた夢がかなった!シナリオ作業からあて書き。彼がどのように演じてくれるのか想像しながらシナリオを書くことが楽しみ。
・ソン・ガンボ~存在感、支配感、韓国的リアリティーにとむ希有な役者。CGの怪物の後に彼が登場すると場面が一気に韓国的になる。
・ぺ・ドゥナ~個性が魅力的で自分だけの世界を持つ人。日常で幽体離脱している。(?!)登場すると画面が漫画的になる。

子供の頃からピョン・ヒボンに惹かれていたというところから、監督はやはりただものではなかったという感想を持ちました。しかも自分が監督になったらというビジョンもしっかりもっていたのですから。そしてその夢をかなえたこと、心からうれしく思います。

<「殺人に追憶」について>
・実話+演劇+想像力。実話をもとにストーリーを作ることのむずかしさを実感。
・ド田舎の馬鹿刑事とソウルから来た知的な刑事の境界性が次第に消え、キャラクターが変容していくことを通して、犯人を生み出した80年代の韓国社会を浮き彫りにした。
・雨の中の設定が好み。(「七人の侍」のラストシーンをひきあいに)雨のシーンは人間の五感を同時に刺激する。「グェムル」のピョン・ヒボンの雨の中の死闘シーンの撮影には17日間かかった。雨がもう一つの主人公。(三池崇監督なら1本撮れてしまう時間発言に笑いが!)

17日間の撮影という話にはもうびっくり!スタッフもキャストもどれだけ大変だったことでしょう。
でもこの後出てくる韓国の映画制作システムが次第に日本化してくるという話に結びつけると、今後こういう撮影はなくなっていくのでしょうね。

<「グェムル」について>
・制作に当たって、周辺のあらゆる人から反対された。怪物ものは幼稚という強い偏見があった。
・モンスター映画の慣習を破壊する家族を中心にした内容が従来のSF映画と異なる。
・娘を救うことがテーマだが、娘は死に、娘が救おうとした少年がが新しい家族になる。

実はこの映画を2回観て、最後に娘が助からない終わり方が感情的にどうしてもしっくりこなかったのですが、今回監督の話を直接聞くことで、ストンと納得できました。それだけでもこの講演会に来た甲斐があったというものでした。

<「Shaking Tokyo」について>
・この夏3ヶ月間、日本のシステムで撮影した。今後韓国のシステムも日本的になっていくだろう。韓国ではスタッフは作品ごとに契約し、撮影期間が延びてもギャラは同じだったが、ここにきて1週間ごとに人件費を計上するシステムに変更になってきた。
・撮影期間が韓国では3~4ヶ月以上なのに比して、日本では1~1.5ヶ月。今後は韓国も撮影期間が短くなっていくだろう。スタッフの福祉的的な面では肯定的だが、長く時間をかけて作るよさもあった従来のシステムの長所が失われる面もある。
・東京に対する印象をオムニバス映画化。
・東京を何度も訪れ感じた、東京に住んでいる人がさびしく見えることから、「引きこもり」をイメージした。写真集「Tokyo Nobody」からもインスパイアされた。
・外国人である自分がいかに感情的に撮ることができるか悩んだが、香川照之、蒼井優、竹中直人ら俳優との交流を通して近づけた。

この作品には友人がエキストラとして撮影に参加していることもあり、公開がとても楽しみです。さびしく見える日本人・・・。「東京砂漠」なんていう古~い歌を思い出してしまいました。ソウルも大都会ですが、たしかに人と人との関係においては濃い感じ、感情的な交流が多い印象は受けますが、実際はどうなのでしょうね。

<日本のコミックの映画化について>
・映画化したい日本の作品は20くらいある。が、すでにアメリカに売れていたり、日本ですでに映画化されていたり・・・。
・1~2年前に日本のプロデューサーから3件ほどオファーがあり、その中には浦沢直樹作品もあったのだが、そのときは日本の映画産業のシステムの中で撮れるか怖くて断ってしまった。「Shaking Tokyo」を経て今ならコールが来たらできると思っている。
・しかし、実際のところアメリカのメジャースタジオは日本の漫画の版権を買いまくっており、アジアの監督が手がけるチャンスは果たしてあるのかと思う。

アメリカのメジャーが版権買いまくりとは!ポン・ジュノ監督には愛する日本のコミックをいつの日かぜひ映画化してほしいと願わずにはいられません。

この後会場の参加者との質疑応答がありましたが、メモをとっておらず記憶がほとんどないのでこれにて覚え書きは終了です。
メモをとっていてさえ忘れているので、これからはできるだけ早くアップしなくてはと肝に銘じることにしますね。

講演会終了後に、絵コンテ台本の表紙にサインをしていただきました。
「カムサハムニダ!」監督はローマ字で「ありがとう」と書いてくださいました。
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現在準備中の長編映画は、「吠える犬は噛まない」と「殺人の追憶」の中間の規模の作品だそうです。「Shaking Tokyo」とともに、楽しみに待ちたいと思います。
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by nanako_konana | 2007-11-11 21:15 | 映画